あいしらう(読み)アイシラウ

デジタル大辞泉 「あいしらう」の意味・読み・例文・類語

あい‐しら・う〔あひしらふ〕

[動ハ四]《「あえしらう」の音変化で、「あしらう」のもとの形》
応対する。
「おほかたは、まことしく―・ひて」〈徒然・七三〉
適当に取り扱う。
「あのやうなものを悪う―・へば、後にあたをする物ぢゃ」〈虎明狂・察化
程よく取り合わせる。
けいせいにざっと柳を―・ひ」〈柳多留・一〇〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「あいしらう」の意味・読み・例文・類語

あい‐しら・うあひしらふ

  1. ( 「あえしらう」の変化した語で「あしらう」の原形か )
  2. [ 1 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙
    1. 程よく応じて調和する。
      1. [初出の実例]「いかに案ずる共、なき所前句にあひしらひて、そとやるを第一の耳と申すなり」(出典:古今連談集(1444‐48頃)上)
    2. 相手になる。相手をする。
      1. (イ) 応対する。応答する。
        1. [初出の実例]「いと深からずとも、なだらかなるほどにあひしらはむ人もがな」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
        2. 「文をとりいるる事もなく、まして使にあひしらふ迄もなかりけり」(出典:高野本平家(13C前)一)
      2. (ロ) 応戦する。
        1. [初出の実例]「頼盛も甲を打ちかたぶけ打ちかたぶけ、あひしらはれければ」(出典:平治物語(1220頃か)中)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙
    1. 取り扱う。程よく処理する。適当にもてなす。
      1. [初出の実例]「三公になったとて。身を高ぶって人をあいしらう事はないぞ。布衣のをかしげなる者をも、へりくだってあいしらうぞ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)九)
    2. 取り合わせる。添える。
      1. [初出の実例]「けいせいにざっと柳をあいしらい」(出典:雑俳・柳多留‐一〇(1775))
    3. 連俳方式で、「月の雪」「霜の花」のように、実際の月や花でないものを、詞の用い方によって、そのように扱う。

あいしらうの補助注記

下二段と思える用例もあるが、これらは、連用形の語尾の「ひ」が「へ」に変化したものであろう。「女は憂きにこり給ひて、昔のやうにもあひしらへ聞え給はず」〔源氏澪標〕など。

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