日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイスランド語」の意味・わかりやすい解説
アイスランド語
あいすらんどご
アイスランド共和国の国語。フェロー語、ノルウェー語、スウェーデン語、デンマーク語とともに北ゲルマン語派を形成している。アイスランドは古くは無人島であったので、アイスランド語の成立は、9世紀に始まったノルウェーのバイキングの移住に始まる。したがって最古層のアイスランド語の写本と、ほぼ同時代のノルウェー語の写本との間には、とりたてていうほどの方言差がなく、事実上同一の言語である。
その後ノルウェー語は言語が大きく変わったが、アイスランド語はたいへん保守的で、名詞、形容詞、動詞などの屈折も、古語のそれを忠実にほとんど変えるところなく今日に伝えているうえ、語彙(ごい)面でも古語のほとんどが今日でもなお生きているともいえるので、アイスランド人は特別の勉強なしに13世紀ごろの古アイスランド語や古ノルウェー語をそのまま読んで理解できる。
[森田貞雄]
『森田貞雄著『アイスランド語文法』(1982・大学書林)』