スカルド詩(読み)スカルドし(英語表記)Skaldic poetry

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スカルド詩」の意味・わかりやすい解説

スカルド詩
スカルドし
Skaldic poetry

北欧の口誦宮廷詩。その起源はノルウェーであるが,主として9~13世紀のアイスランドの吟唱詩人 (スカルド) によって発展した。バイキング時代 (9~10世紀) に活躍したスカルドは宮廷詩人として宮廷や貴族の館に仕えた者が多い。その最初の有名な詩人は9世紀ノルウェーの老ブラギ,その典型は『エギルのサガ』の主人公エギル・スカラグリームスソンスカルド詩は『韻文エッダ』とともに,古いアイスランド文学に残る。エッダが伝統的な古代ゲルマンの単純な詩形で,叙事的に神話,英雄伝説を語るのに対し,スカルド詩は,技巧的で複雑な詩形と比喩を駆使して,特定の人物の功績をたたえたり,皮肉風刺,罵倒を浴びせたりする。 10~12世紀頃がその全盛期で,やがて散文物語サガに取って代られて,13世紀末以後はみられなくなった。ケニングと呼ばれる特殊な比喩を駆使した,現代人にはきわめて難解な詩が多い。

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