出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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…そして一方では,婚姻および家族の制度の進化のあとをたどることによって,氏族制度がおそらく,かのプナルア家族と名づけた群婚の形態から発生したものであろうと論じ,他方では,財産の観念とその相続規制の発達のあとをたずねて,原始の母系制が父系制に変わり,民主的な氏族共同体が貴族階級の支配に移っていく過程を考察したのである。 モーガンの《古代社会》は,いわゆる歴史以前の人間社会の研究に,先人未踏の分野を開拓した労作として,その後の学界に画期的な影響を与えたが,とくにF.エンゲルスは,A.vonハクスタウゼンやG.L.マウラー以来,インドからアイルランドにわたって,社会の原始形態であったことが発見された土地を共有する村落共同体の原初的な目的や組織が,氏族の真の性質と地位とに関するモーガンの発見によって,はじめて明らかにされたとなし,その著《家族・私有財産および国家の起源》(1884)において,モーガンの結論を全面的に採用するとともに,モーガンのわずかに言及するにとどまったケルト人およびドイツ人の氏族と,ドイツ人の国家形成とについて,それぞれ1章を設けて詳論した。ことに領土と公権力とによって特徴づけられ,階級的対立の中から階級支配の手段として生まれた国家に対し,モーガンが国家以前の社会組織として解明した氏族制度に向かっては,〈この氏族制度こそそのいっさいの天真さと単純さとにおいて驚くべき制度だ! 兵士も憲兵も警官もなく,貴族も国王も総督も知事または裁判官もなく,牢獄も訴訟もなくて,いっさいが規則正しく進行する。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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