アコンカグア山(英語表記)Cerro Aconcagua

改訂新版 世界大百科事典 「アコンカグア山」の意味・わかりやすい解説

アコンカグア[山]
Cerro Aconcagua

チリのサンチアゴ北北東約100km,チリ国境に近いアルゼンチン領にあるアンデス山脈中の山。南緯32°40′,西経70°02′に位置する。標高6960m。西半球および南半球の最高峰。1897年フィッツジェラルド隊のバインズとツルブリッゲンにより初登はん。山の北西側に源を持つアコンカグア川はアコンカグア州(チリ領)の谷間を流れ,灌漑用水として利用されたのち,太平洋に注ぐ。アコンカグア山塊の南麓をウスパヤタ峠が通り,アルゼンチンとチリを結ぶ主要な交通路となっている。この峠を通る鉄道からはアコンカグア山は見えない。車道からも見おとしがちである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アコンカグア山」の意味・わかりやすい解説

アコンカグア山
あこんかぐあさん
Cerro Aconcagua

アルゼンチン西部のアンデス山中にある山。標高6960メートル。南北アメリカのみならず、西半球を通じての最高峰である。山頂は、アルゼンチンとチリの国境をなすアンデス主稜(しゅりょう)線より12キロメートル東方のアルゼンチン領内にある。南方20キロメートルには、両国を結ぶもっとも重要な交通路であるウスパヤタ峠がある。円錐(えんすい)形をした山容火山岩質の地層の存在から、かつては火山と推定されていたが、中生代白亜紀後期の安山岩や火山砕屑(さいせつ)岩からなる非火山性の山である。頂部には氷河を頂くが、周囲が乾燥気候であるため降雪量が少なく、万年雪帯は標高約5000メートル以上に限られる。1897年イギリスのフィッツジェラルド登山隊の一員ツルブリッケンが初登頂に成功、日本の登山隊としては1953年(昭和28)早稲田(わせだ)大学登山隊が初めて登頂した。

[松本栄次]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アコンカグア山」の意味・わかりやすい解説

アコンカグア山
アコンカグアさん
Cerro Aconcagua

アルゼンチン中部西寄り,メンドサ州北西端部にある山。州都メンドサの西北西約 110km,チリとの国境に近いアンデス山脈中に位置する。アンデスの最高峰で,標高は 6959m。火山起源ではあるが,火口はなく,噴火の記録もない。標高 4500m以上は氷雪におおわれている。 1897年イギリスの E. A.フィッツジェラルドの率いる遠征隊の隊員が初登頂。 1953年には日本の早稲田大学登山隊も登攀。南麓のウスパヤタ (クンブレ) 峠を越えてアンデス横断鉄道とパンアメリカン・ハイウェーが通る。

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世界大百科事典(旧版)内のアコンカグア山の言及

【アンデス[山脈]】より

…そのため,この山の登山が多く試みられ,ドイツの地理学者A.フンボルトやフランスの農芸化学者ブザンゴーなども登頂を試みたが果たさず,1880年イギリスの登山家E.ウィンパーが初登頂した。アンデスの最高峰アコンカグア山は,83年ドイツのギュスフェルト隊が挑んだが,97年イギリスのE.A.フィッツジェラルド隊のS.バインズとM.ツルブリッゲンによって初登頂された。20世紀に入り,ペルー,ボリビアのアンデスの登山も盛んとなり,1908年アメリカのA.S.ペックによるペルーのワスカラン北峰登頂,32年ドイツ・オーストリア隊によるペルーのブランカ山群への2回の遠征などがあるが,まだ未登の山も数多く残されていた。…

【登山】より

…この間アルプスの4000m級の高峰は全部登りつくされて,未踏峰がなくなると側稜や岩壁からのより困難なルート(バリエーションルート)からの登頂や冬季登山,案内人なしの登山などが行われるようになった。同時に新しい山々を求めカフカス,アンデスなどに目を向け,カフカスのエリブルス東峰(5621m)は1829年にK.ハシロフ,西峰(5642m)は74年イギリスのF.グローブ,アンデスの最高峰アコンカグア(当時7035m)は97年イギリスのE.A.フィッツジェラルド隊,ニュージーランドのクック(3764m)は94年,アフリカのキリマンジャロ(5895m)は1889年,アラスカのマッキンリー南峰(6191m)は1913年に初登頂された。19世紀の終りに活躍したイギリスの登山家A.F.ママリーはより困難なルートからの登山を提唱し,スポーツ登山はその困難さの中に喜びを見いだすと説き,これはママリズムとして近代のアルピニズムのおもな思想となった。…

※「アコンカグア山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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