日本大百科全書(ニッポニカ) 「アゾキシベンゼン」の意味・わかりやすい解説
アゾキシベンゼン
あぞきしべんぜん
azoxybenzene
アゾキシ基-N=N(→O)-をもつ有機化合物をアゾキシ化合物と総称するが、その代表的なものの一つ。
トランス形とシス形とが存在するが、シス形は不安定なためトランス形のみを考えることが多い。トランス形構造をもつもの、シス形構造をもつものとも淡黄色結晶。ニトロベンゼンを亜ヒ酸ナトリウムのアルカリ水溶液で穏やかに還元するか、アゾベンゼンを過酸で酸化すると得られる。エーテル、アルコールに溶けるが、水には溶けない。トランス形に光をあてると転位生成物o(オルト)-オキシアゾベンゼンとともにシス形が得られる。濃硫酸と加熱するとp(パラ)-オキシアゾベンゼンに転位する。
[谷利陸平]