アニシジン(読み)あにしじん(英語表記)anisidine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アニシジン」の意味・わかりやすい解説

アニシジン
あにしじん
anisidine

芳香族アミンの一つ。アミノアニソール、メトキシアニリンともいう。o(オルト)、m(メタ)、p(パラ)の3種の異性体がある。

 いずれも、それぞれ対応するニトロアニソールを鉄、亜鉛などの金属と酸によって還元すると得られる。o-アニシジンおよびm-アニシジンは淡黄色の液体であるが、p-アニシジンは無色固体である。各異性体とも水にはほとんど溶けないが、アルコール、エーテルなどの有機溶媒には溶ける。o-アニシジン、p-アニシジンはアゾ染料ナフトール染料アゾイック染料)の合成中間体としてとくに重要である。o-アニシジンは発癌(はつがん)性があるといわれている。

山本 学]


アニシジン(データノート)
あにしじんでーたのーと

о-アニシジン

 分子式 C7H9NO
 分子量 123.16
 融点  6.2℃
 沸点  225℃
 比重  1.098(測定温度15℃)

m-アニシジン

 分子式 C7H9NO
 分子量 123.16
 融点  1℃
 沸点  251℃
 比重  1.096

р-アニシジン

 分子式 C7H9NO
 分子量 123.16
 融点  59℃
 沸点  243℃
 比重  1.089(測定温度55℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「アニシジン」の解説

アニシジン
アニシジン
anisidine

methoxyaniline.C7H9NO(123.16).C6H4(OCH3)NH2o-,m-およびp-アニシジンの3種類の異性体がある.いずれもニトロアニソールを還元してつくられ,おもにアゾ染料の中間体として用いられる.o-アニシジンは液体.融点5 ℃,沸点225.1.092.1.573.pKb 9.48.m-アニシジンは液体.融点1 ℃,沸点251 ℃.1.096.1.579.pKb 9.77.p-アニシジンは無色の針状晶.融点58 ℃,沸点245 ℃.pKb 8.66.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アニシジン」の意味・わかりやすい解説

アニシジン
anisidine

化学式 CH3OC6H4NH2o 体,m 体,p 体の3種の異性体がある。 o 体は沸点 225℃,m 体は沸点 251℃,p 体は沸点 246℃。どれも染料合成中間体として利用される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android