日本大百科全書(ニッポニカ) 「アニシジン」の意味・わかりやすい解説
アニシジン
あにしじん
anisidine
芳香族アミンの一つ。アミノアニソール、メトキシアニリンともいう。o(オルト)、m(メタ)、p(パラ)の3種の異性体がある。
いずれも、それぞれ対応するニトロアニソールを鉄、亜鉛などの金属と酸によって還元すると得られる。o-アニシジンおよびm-アニシジンは淡黄色の液体であるが、p-アニシジンは無色の固体である。各異性体とも水にはほとんど溶けないが、アルコール、エーテルなどの有機溶媒には溶ける。o-アニシジン、p-アニシジンはアゾ染料、ナフトール染料(アゾイック染料)の合成中間体としてとくに重要である。o-アニシジンは発癌(はつがん)性があるといわれている。
[山本 学]