ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アブー・ウバイダ」の意味・わかりやすい解説
アブー・ウバイダ
Abū `Ubayda al-Jarrāh
[没]641. シリア
初期イスラム教団の有力指導者。メッカのクライシ族の出身。初期の改宗者の一人で,アビシニア (エチオピア) 移住団の指導者の一人でもある。ムハンマドに従って多くの戦功をあげ,またしばしば遠征軍の指揮官をつとめた。ムハンマドの死後,アブー・バクルをカリフに推してイスラム社会の統一を保つためにウマル (→ウマル1世 ) とともに重要な役割を果した。第2代カリフ,ウマルの時代にシリア征服の最高指揮官となって,北部シリアの諸都市を征服し,統治機構の整備に努めた。シリアに悪疫が流行したとき,カリフはアブー・ウバイダの身を案じてメジナに帰還するようにすすめたが,彼はシリアにとどまり,58歳で子孫を残すことなく病死した。
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