ウマル(読み)うまる(英語表記)‘Umar b. al-Khaāb

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウマル」の意味・わかりやすい解説

ウマル(Maulvi Muhammad Umar)
うまる
Maulvi Muhammad Umar
(1959?―2013)

アフガニスタンタリバン勢力の最高指導者。オマルOmarとも。パシュトゥン民族ヌールザイ氏族の人物で、ウルズガーン州出身。アフガニスタンに駐留(1979~1989)していた旧ソ連軍と戦うゲリラ一員であったが、イスラム教スンニー派の宗教学者になり、1994年8月ごろ、タリバン組織を創設したといわれる。厳格な宗教指導者として知られ、タリバンがアフガニスタンにおいて支配的勢力であった2001年まで「アミール・アルムーミニーン」(信徒たちの長)の地位から、シャリーア(イスラム法)に基づく諸政策を、アフガニスタン南部のカンダハール市のタリバン本拠地から首都カブールの政府に対して指令した。この時期、首都カブールで毎週公開処刑が行われるなど、ウマル以下のタリバン勢力の恐怖政治が国際的に問題視された。アフガニスタン政府は2013年にカラチパキスタン)の病院で死亡したと発表した。

[深町宏樹 2018年4月18日]


ウマル(‘Umar b. al-Khaāb)
うまる
‘Umar b. al-Khaāb
(?―644)

正統第2代カリフ(在位634~644)。ウマル1世、オマルともいう。メッカに生まれ、反ムハンマド(マホメット)からムスリムとなり、教団重鎮となった。カリフとして大征服を拡大する一方イスラム紀元制定、カリフの称号として「信者の長」(アミール・アルムーミニーン)の採用、軍事都市ミスルの建設、アラブ諸族をディーワーン(省、庁)に軍人ムカーティラ)として登録するなど、イスラム国家の組織化に努めた。

[花田宇秋]

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