ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャリール」の意味・わかりやすい解説
ジャリール
Jarīr ibn `Aṭiyyah
[没]728/729. ヤマーマ
アラブの詩人。アフタル,ファラズダクと並び,ウマイヤ朝時代を飾った詩人で,後世までのアラブ詩界のなかで,一流の大家と評価されている。特に風刺詩にすぐれ,ファラズダクとは多年にわたり互いに詩をもって戦ったが,その原因は両者の属する部族間の争いにあったという。のちダマスカスに出て,時のカリフ (アブドゥル・マリク,ワリード1世,ウマル2世,ヒシャームら) の宮廷に出入りしたが,晩年は領地のあるアラビアのヤマーマに戻り,そこで 80歳ほどで世を去った。その「ディーワーン」 (個人詩集) は9世紀前半にムハンマド・イブン・ハビーブによって編纂された。ファラズダクをはじめ数十人の詩人その他をそしった風刺詩が大部分を占めているが,賛美の詩や哀歌などにもすぐれたものがある。
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