メジナ(読み)めじな(英語表記)largescale blackfish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メジナ」の意味・わかりやすい解説

メジナ
めじな / 目仁奈
largescale blackfish
nibbler
[学] Girella punctata

硬骨魚綱スズキ目メジナ科に属する海水魚。北海道から九州南岸の日本海と太平洋沿岸、東シナ海、南西諸島、小笠原(おがさわら)諸島、朝鮮半島南岸、台湾、香港(ホンコン)、福建(ふっけん)省などの中国沿岸などに分布する。高知県や関西地方ではグレとよび、またクロイオとよぶ地方もある。釣り人は一般に口太(くちぶと)という。体は楕円(だえん)形で側扁(そくへん)する。頭部の背縁は目の前方で急傾斜しない。尾柄(びへい)は高くて太い。口は小さくて、上唇は薄く、上顎(じょうがく)の後端は目の前縁下近くに達する。上下両顎の外列歯は門歯状で普通は2列で、各歯は互いに密接する。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)に歯がない。目は小さく、眼径は吻長(ふんちょう)より小さい。鰓蓋(さいがい)の下半分は鱗(うろこ)で覆われない。側線有孔鱗(ゆうこうりん)数は50~56枚、背びれ棘(きょく)部の中央下での横列鱗数は6~9枚。体色は紫黒色。鰓蓋の後縁は黒くない。各鱗の基部や中部に暗色斑点(はんてん)がある。各地の沿岸の岩礁にすみ、雑食性で海藻ゴカイ、エビ、カニなどの小動物を食べる。産卵期は2~3月で、卵は直径1.01~1.03ミリメートルの浮性卵である。孵化(ふか)した仔魚(しぎょ)は全長2.3ミリメートルになる。初夏のころは5センチメートルくらいに成長し、20~50尾の群れをつくり、岩場を泳ぎ回って盛んに餌(えさ)をあさる。夜間は外敵に襲われないように浅い岩陰で眠り、夜明けになると50~200個体の大きな群れをつくって遊泳し、水面に浮くことがある。午前7~8時ころに分散して、沖で海藻や小動物を食べ、日没近くになるとふたたび群れをつくって夜の休息場所に帰る。1年で11センチメートル、2年で17センチメートルくらいになり、行動範囲が広まり、昼はほかの磯(いそ)にも遠遊する。3年魚以上では昼も夜も外海に面したやや深い岩礁の割れ目などに隠れている。7年で30センチメートルあまりになる。雄は雌より大きい。最大全長は67.5センチメートル。干潮によって潮だまりタイドプール)に閉じ込められると、仲間どうしのけんかがおこり、強いものから順位ができ、縄張りテリトリー)をつくることが観察されている。釣り、定置網などで漁獲される。引きが強いので磯釣り魚として人気がある。刺身、鍋(なべ)料理、塩焼きなど総菜魚にされるがやや磯臭い。冬季には美味である。近縁種にクロメジナG. leoninaオキナメジナなどがいる。この2種とメジナでは、以下の点に違いがある。クロメジナは鰓蓋の後縁が黒く、体が細長い。鱗が小さく、側線有孔鱗数は57~65枚、尾柄は細長く、尾びれの上下端は伸びる。オキナメジナは体がずんぐりして、体高が高い。体側中央に黄色の横帯が1本ある。上唇は厚く、鰓蓋部の全域に鱗がある。

片山正夫・尼岡邦夫 2021年2月17日]

釣り

入梅時と冬に人気があるが、ほぼ一年中磯釣りができる。関西地方の一部には、船を沖に出して錨(いかり)で泊め、カカリ釣りという方法で釣る所もある。釣りの対象になるのはメジナ(関西地方でグレ、クチブト)とクロメジナ(関西地方でオナガ、オナガグレ)の2種。クロメジナのほうが大形でスピード感、引き味も抜群なので、対象魚種により竿(さお)の調子、道糸やハリスの太さなどもそれなりに変える必要がある。竿は磯竿メジナ用5メートル級。中型スピニングリールに道糸3~6号。ハリス1.5~5号を2~3メートル。鉤(はり)はチヌ鉤2~7号や、あぶみ鉤7~8号。

 群泳する習性があるので、沖からの波が磯に当たって白く泡立つさらし場や、海底が海溝状になった潮流のよい所にアミ、オキアミ、イワシのミンチなどの寄せ餌(え)を少量ずつ終日投入し、この寄せ餌の流れと同じに仕掛けを流す。また、籠釣り(かごづり)といって、寄せ餌の籠をセットして釣ったり、ウキなしのフカセ釣りもあるが、基本はウキ釣り。ウキ下の目安はだいたい3メートルくらい。ハリスから餌が垂直でなく、斜めに潮にのって流すのがよい。

[松田年雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メジナ」の意味・わかりやすい解説

メジナ
Medina

アラビア語ではマディーナ Al-Madīnahで,さらに前には最も輝かしい都市を意味するムダッワラ Al-Mudawwarah,神の使徒ムハンマドの都市を意味するマディーナ・ラスールアッラー Madīnat Rasūl al-Lāhと呼ばれていた。サウジアラビア西部,ヒジャーズ地方にある都市。メッカに次ぐイスラム教第2の聖地。紅海東岸から約 140km,ハムド涸れ川 (ワディ) 上流部のオアシス地帯に位置する。古くはヤスリブとも呼ばれ,ユダヤ人の集落であったが,5世紀末にアラビア人が定住。 622年ムハンマドがメッカから移住したのちは,イスラムの政治,教団活動の中心となった。第4代カリフのアリーが 656年にクーファに遷都し,政治の中心ではなくなったが,ムハンマドの墓所,シャリーフ (ムハンマドの子孫) であるアリー一族の居所として,アッバース朝初期まで宗教,学問の一大中心であった。 1925年サウード家の手中に陥り,のちサウジアラビアに統合された。現在も堅固な2重の城壁に囲まれる。ムハンマドおよび2人の正統カリフを埋葬した「預言者のモスク」には,毎年多数の巡礼が訪れる。郊外ではナツメヤシ,ブドウ,野菜,穀物が栽培され,遊牧民との交易市場が立つほか,隊商の休憩所もある。ヒジャーズ鉄道の終着駅であり,ハイウェーで北のヨルダン,シリア,南のイエメンに連絡するが,これは古代の香料の道でもある。郊外に空港もある。人口 29万 (1980推計) 。

メジナ
Girella punctata

スズキ目イスズミ科の海水魚。体長 45cm内外に達する。体は卵円形で,側扁し,吻は丸い。両顎に絨毛状の歯帯がある。主鰓蓋骨にやや鋭いとげが 1本ある。尾鰭の後縁はやや湾入し,その上下端はとがっている。体は紫黒色。沿岸の岩礁にすみ,幼魚は潮だまりでよく見られる。南日本,朝鮮半島南部,中国,台湾に分布する。

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