日本大百科全書(ニッポニカ) 「アベックの規則」の意味・わかりやすい解説
アベックの規則
あべっくのきそく
Abegg's rule
周期表でみられる原子価の規則で、1904年ドイツのアベックRichard Abegg(1869―1910)によって指摘された。すなわち陽性元素が正電荷、陰性元素が負電荷で結合する場合を正常原子価としそれらの逆の場合を逆原子価としたとき、それらの正常原子価および逆原子価の最高値の絶対値の和はつねに8になる、というものである。たとえば塩素の正原子価は-1であるが、逆原子価は+7、硫黄の正原子価は-2、逆原子価は+6で、それらの原子価の絶対値の和は8である。このことは電子が化学結合に関与するとき、その原子の原子価または原子価電子の数として8が重要な意味をもつことを示すもととなった重要な規則である( )。
[中原勝儼]