改訂新版 世界大百科事典 「アラク」の意味・わかりやすい解説
アラク
`araq
`araqī
語根`-r-qは〈少量の水〉を表し,派生動詞`arraqa,ta`arraqaは〈酒に水を少々混ぜる〉の意味を示す。アラックともいう。ナツメヤシやブドウを原料としてつくられる蒸留酒で,水を加えるとミルク状に白濁する。原料の種類や産地および醸造前後における手入れの仕方によって,アルコール度,味,色,香りが異なる。アラクは古来イラクとシリアが産地としてよく知られ,エジプト,スーダンおよび北アフリカ諸国でも原始的な方法で小規模ながら製造されていた。現代になって,商品として大量に製造されるようになったが,中でもナツメヤシの主産地イラクがその中心をなしている。インドやマレーシアなどでは,原料に米,ココヤシ,ヤシの樹液などを用い,ブルボン家ではサトウキビを原料にした。日本では江戸時代にオランダから渡来し,阿剌吉(あらき),阿剌基などと呼ばれ,珍重されていた。スペインではarac,erraca,ポルトガルではaraca,araque,orraca,racなど,英語ではarrack,arakという。
執筆者:池田 修
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報