アルベーン波(読み)あるべーんは

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルベーン波」の意味・わかりやすい解説

アルベーン波
あるべーんは

プラズマ中に外部磁場が存在するとき、磁場に垂直方向に振動しつつ磁場に沿って進行する横波スウェーデンの物理学者アルベーンが発見したのでこうよばれるが、彼自身はこれを磁気流体波と名づけた。荷電粒子(イオン、電子)の集まった粒子系、つまり、プラズマは第四の物質状態とよばれ、いろいろな波が存在する。アルベーン波は、紐(ひも)を振動させたときにおこる波と同じで、磁力線が紐の役割を果たしており、紐の張力Sのかわりに磁気的張力B2/μ(B磁束密度)を用い、密度ρのプラズマとすると、波の伝播(でんぱ)速度は、

と表される。μは透磁率である。アルベーン波は、太陽の黒点の活動や地球磁気圏での電磁波放射で重要な役割を演じている。たとえば、磁気嵐(あらし)のおこったとき、0.1~1000秒の周期の磁場変動が観測されており、これは、波長が数百キロメートル、伝播速度が秒速1000キロメートルにも達するアルベーン波によるものと考えられている。

池内 了]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルベーン波」の意味・わかりやすい解説

アルベーン波
アルベーンは
Alfvén wave

磁場中のプラズマなかで,磁場の方向に進む横波。 H.アルベーンによって,1942 年に初めて提唱されたので,アルベーン波と呼ばれているが,磁気流体波ともいう。磁力線の横振動が,磁力線に沿って伝わる波と考えれば理解しやすい。たるみなく張った弦を伝わる横波の速度は,弦の張力を T ,密度を ρ とすれば, で表わされる。磁力線の張力は TB2/μ に等しいので, の速度をもつ横波が磁力線に沿って伝搬する。 B は磁束密度,μは誘磁率,ρ はプラズマの質量密度である。 VAアルベーン速度という。

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