アルレッキーノ(英語表記)Arlecchino[イタリア]

デジタル大辞泉 「アルレッキーノ」の意味・読み・例文・類語

アルレッキーノ(〈イタリア〉arlecchino)

アルルカン

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「アルレッキーノ」の意味・わかりやすい解説

アルレッキーノ
Arlecchino[イタリア]

コメディア・デラルテの中で下僕・従者として登場する代表的な道化役の一人。中世フランスの説話に現れるいたずら悪魔エルルカンHerlequin,エルカンHellequinがその語源であるといわれている。ザン・ガナッサ,またの名をアルベルト・ナゼッリ(1540ころ-84)という喜劇役者が,フランス巡業のおり,コメディア・デラルテの道化役の祖型であるザンニZanniにアルルカンArlequinの名を与えた。ガナッサはこの役をイタリアにもち帰り,アルレッキーノという典型的な道化役を創造した。フランスでもアルルカンの名は定着し,演劇ばかりかその他の芸術の分野やさまざまな社会生活の領域で使われ,今にいたっている。本来アルレッキーノは,その前身ザンニの性格をひきついで,常に貧乏と空腹をうったえては,盗みをはたらいたり,うそをついたりする愚鈍な道化であったが,やがてフランス文化と接触するうちに,敏しょうさと才知を身につけ,意識的ないたずら者,対立関係の媒介者といった道化に変貌してきた。それに従い,袖やズボンのひざなどに大きなつぎをあてた衣装も,さまざまな色の三角形の模様からなる洗練されたものになった。仮面もまた初期には顔中毛だらけの動物的なものであったが,衣装のデザイン化と並行して,俳優の目と口の表現をはっきりと見せることのできるシンプルな皮製の仮面となってきた。小道具としてかならず大きな財布へらを腰につける。
コメディア・デラルテ
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアルレッキーノの言及

【コメディア・デラルテ】より

…コメディア・デラルテがヨーロッパ文化に残した最大の功績のひとつは,登場人物を類型化し,その仮面を創造したことであろう。アルレッキーノ,ブリゲーラBrighella(道化),パンタローネPantalone(老人),ドットーレDottore(知識人),カピターノCapitano(軍人)は,社会を構成する人間の基本的な類型を示している。このような登場人物がさまざまな即興的演技やせりふを組み合わせながら,簡単な筋書きだけをたよりに,一編の劇を作り上げたのである。…

【ベルティナッツィ】より

…イタリアの俳優。芸名カルリーノで親しまれた18世紀で最も有名なアルレッキーノ役者。3歳でサボイア公アメデオ2世軍の将校であった父を亡くし,14歳にして軍隊に入るが,軍隊生活を嫌い役者を志した。…

※「アルレッキーノ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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