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あわれ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

あわれ

日本文学の美的理念の一つ。「あはれ」と表記した。古語「あはれ」は本来喜怒楽のさまざまな感情のこもった深い詠嘆を表わす感動詞であったが,次第に具体的な感情から離れて,自然や人生に対する複雑な情緒をも表わすようになり,さらに精神的な理念にまで高められた。その背景には繊細で優雅な王朝貴族の文化がある。「あはれ」が情趣的な感懐や詠嘆から出発して優雅,悲壮を示すのに対して,これと対比される「をかし (→おかし ) 」は感覚的な興味や反応から出発して優美,滑稽を示す。「あはれ」「をかし」に,さらに崇高,荘重を示す「長高 (たけたか) し」を加えた3つの美的理念によって,日本文学の内容を把握しようとする視点もある。『源氏物語』は「あはれ」の文学,『枕草子』は「をかし」の文学といわれるように,物語や和歌には「あはれ」,随筆や日記には「をかし」の要素が強い。「あはれ」の包括する内容は広く,「まこと」「 (みやび) 」「幽玄」「わび」「さび」などと通じる面もある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

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