(読み)ガ

デジタル大辞泉 「雅」の意味・読み・例文・類語

が【雅】[漢字項目]

常用漢字] [音](漢) [訓]みやび みやびやか
洗練されていて上品なこと。風流なこと。みやびやか。「雅趣雅遊温雅閑雅古雅高雅清雅典雅風雅優雅
正しい。「雅歌雅楽雅言雅量博雅
平素からの。「雅意」
詩経」に説く、六義りくぎの一。「小雅大雅
他人に対して敬意を表す語。「雅兄
[名のり]ただ・ただし・つね・なり・のり・ひとし・まさ・まさし・まさり・まさる・もと
[難読]雅楽頭うたのかみ

が【雅】

[名・形動]みやびやかなこと。奥ゆかしいこと。また、そのさま。風流。
「馬が尿いばりするのをさえ―な事と見立てて」〈漱石草枕
[名]詩経」の六義りくぎの一。王朝の儀式や宴席でうたわれた詩歌。大雅小雅に分かれる。

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精選版 日本国語大辞典 「雅」の意味・読み・例文・類語

みや‐び【雅】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 動詞「みやぶ(雅━)」の連用形の名詞化 )
  2. 宮廷風で上品なこと。都会風であること。また、そのさま。洗練された風雅。優美。
    1. [初出の実例]「是に、月の夜に清談(ものかたり)して、不覚(おろか)に天暁(あ)けぬ。斐然(ふみつくる)(ミヤヒ)、忽に言に形る」(出典日本書紀(720)継体七年八月(前田本訓))
  3. 恋の情趣を解し、洗練された恋のふるまいをすること。
    1. [初出の実例]「昔人は、かくいちはやきみやびをなんしける」(出典:伊勢物語(10C前)一)
  4. すぐれた風采(ふうさい)。りっぱな姿。
    1. [初出の実例]「大王(きみ)風姿(ミヤヒ)岐嶷(いこよか)にまします」(出典:日本書紀(720)仁徳即位前(前田本訓))

が【雅】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 正しく善いこと。きちんとして上品なこと。また、そのさま。
  3. ( 形動 ) みやびやかなこと。おくゆかしいこと。また、そのさま。風流。
    1. [初出の実例]「蓋予与祥寿翁旧交、非一日之雅也」(出典:翰林五鳳集(1623)一一)
    2. [その他の文献]〔新書‐道術〕
  4. 趣味の高尚なこと。
  5. 「詩経」の六義(りくぎ)の一つで、風、頌とともに内容上の分類の一つ。周の王室のことをうたったもので、大雅と小雅に分かれる。
    1. [初出の実例]「和歌有六義。一曰風、二曰賦、三曰比、四曰興、五曰雅、六曰頌」(出典:古今和歌集(905‐914)真名序)
    2. [その他の文献]〔詩経‐大序〕
  6. 他人の言行、詩文などにつけるほめことば。「雅兄」

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普及版 字通 「雅」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

(旧字)
12画

[字音] ガ・ア
[字訓] からす・みやびやか・ただしい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(が)。〔説文〕四上に「楚烏なり」という。の従うところと同じく、その鳴き声。

[訓義]
1. からす、はしぶと。
2. 舞楽を意味する夏と通用する。古楽章に九夏・三夏などあり、これに対して〔詩〕の大雅・小雅をいう。雅は貴族社会の詩。それより都雅・典雅の意となる。みやびやか、あでやか、うるわしい。
3. 正楽の意より、ただしい、つね、よい。

[古辞書の訓]
名義抄 マサシ・ウルハシ・マサカナリ・ヒタフト・ナホシ・モトヨリ・マコト・タクマシ・イササカニ・ヤハラカナリ・ミヤビカナリ・オダヒカナリ 〔字鏡集〕 カラス・ヒタフト・カモカラス・ウルハシ・オダヒカナリ・ミヤビヤカナリ・ヤハラカナリ・マサシ・サカリ・マコト・サカシ・ヨシ・タクマシ・ノリ・イササカニ・トモ・タヒカナリ

[語系]
と夏と通用することがあり、〔子、栄辱〕「君子に安んず」は中夏の意。〔子、儒効〕に「夏に居りては而(すなは)ち夏なり」の「夏なり」は正の意。字形の上で、夏は古くとしるし、足をあげる舞容の形。その疋(が)をの意に用い、大疋・小疋(大・小)のようにいうことがある。

[熟語]
雅愛・雅意・雅韻・雅烏・雅歌・雅会雅誨・雅懐・雅楽雅鑒・雅玩・雅器・雅客・雅教・雅・雅業・雅曲・雅琴・雅兄・雅健・雅言・雅故・雅語・雅好・雅才雅士雅志・雅旨・雅詞・雅詩・雅辞・雅趣・雅寿雅馴雅章雅舂雅誦・雅尚雅人・雅粋・雅正・雅声・雅素・雅奏・雅操・雅俗・雅達・雅淡雅澹・雅談・雅致・雅重雅飭・雅・雅度・雅拝・雅媚・雅舞・雅文・雅望・雅友・雅裕・雅遊・雅流・雅慮・雅亮・雅量・雅麗・雅魯・雅論
[下接語]
淵雅・淹雅・温雅・賀雅・閑雅・間雅・寛雅・古雅・弘雅・高雅・詩雅・儒雅・醇雅・小雅・舂雅・崇雅・清雅・素雅・奏雅・蒼雅・騒雅・藻雅・大雅・淡雅・端雅・通雅・典雅・都雅・博雅・風雅・文雅・明雅・幽雅・優雅・麗雅

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雅」の意味・わかりやすい解説


みやび

日本文学の美的理念の一つ。「みやび」は「宮ぶ」から出た言葉で,宮廷風であることが本来の意味で,それが美意識の次元まで高められたもの。都会的な文化と密着し,都会人の繊細で鋭敏な感受性によって見出された,上品で優雅な,知的に洗練された情趣美であって,粗暴,やぼ,無知などに背反する。実生活の日常性から遊離した宮廷生活の風流で遊戯的な雰囲気のなかでの産物である。奈良時代末期からすでにみられるが,平安時代に入って京都を舞台として展開された貴族文化の美意識の核心をなしていた。

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デジタル大辞泉プラス 「雅」の解説

株式会社小樽海洋水産(北海道小樽市)が製造する調味料。原料にアマエビを使用した醤油(魚醤)。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【雅俗】より

…〈雅〉と〈俗〉とは相対立する概念。日本でもひろく用いられるが,中国では時代による意味の変化がみられる。…

【詩】より

…古いものでは8世紀ごろ成立したイギリスの《ベーオウルフ》があり,北欧の〈エッダ〉と〈サガ〉,ドイツの《ニーベルンゲンの歌》などのゲルマン色の濃いものや,おそらくケルト系のアーサー王伝説群,それに,キリスト教徒の武勲詩の性格をもつフランスの《ローランの歌》,スペインの《わがシッドの歌》などが,いずれも12,13世紀ごろまでに成立する。抒情詩としては12世紀ごろから南仏で活動したトルバドゥールと呼ばれる詩人たちの恋愛歌や物語歌がジョングルールという芸人たちによって歌われ,北仏のトルベール,ドイツのミンネゼンガーなどに伝わって,貴族階級による優雅な宮廷抒情詩の流れを生むが,他方には舞踏歌,牧歌,お針歌などの形で奔放な生活感情を歌った民衆歌謡の流れがあり,これがリュトブフ(13世紀)の嘆き節を経て,中世最後の詩人といわれるフランソア・ビヨン(15世紀)につらなる。ほぼ同じ時期に最後の宮廷詩人シャルル・ドルレアンもいて,ともにバラードやロンドーといった定型詩の代表作を残した。…

【詩経】より

…孔子以来,儒家の経典とされた。諸国の民謡を集めた〈風〉,宮廷の音楽〈雅〉,宗廟の祭祀の楽歌〈頌〉の三部分から成る。〈風〉は,〈国風〉とも呼ばれ,周南・召南・邶(はい)・鄘(よう)・衛・王・鄭・斉・魏・唐・秦・陳・檜・曹・豳(ひん)の15国160編,〈雅〉は,小雅74編・大雅31編,〈頌〉は,周頌31編・魯頌4編・商頌5編を収める。…

※「雅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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