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優美 ゆうび Anmut

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

優美
ゆうび
Anmut

崇高と並んで最も基本的な美的範疇の一つ。特に古典的芸術において重んじられたが,F.シラーはそれを一般美学の重要概念として厳密に理論づけ,「美しき魂」 schöne Seeleの現象的表出である道徳的態度のうちに優美を認めた。

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デジタル大辞泉の解説

ゆう‐び〔イウ‐〕【優美】

[名・形動]上品で美しいこと。しとやかで美しいこと。また、そのさま。「―な和服姿」「―に舞う」
[派生]ゆうびさ[名]

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世界大百科事典 第2版の解説

ゆうび【優美 grace】

美的範疇の一つ。崇高と対立して,ものごとの上品な優雅さを語ろうとするものだが,悲壮や滑稽や狭義の美にくらべると両極的原理相互の緊張が弱くて穏やかな調和融合をあらわすにとどまり,明確な輪郭を定めがたい概念である。その形式的特徴を挙げれば,一つは一種の魅惑にあり,これは素朴な単純さや愛らしい弱小性に由来する。もう一つは両極的原理たる自然と精神との調和という道徳的意義の発現にある。J.C.F.シラーは人間の身体運動も道徳性をはらむ精神の表現であることに着目し,感性と理性,性向と義務との全き調和を〈美しき魂schöne Seele〉と呼び,これの発現こそ優美にほかならぬとして以後の優美論の方向を定めた。

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大辞林 第三版の解説

ゆうび【優美】

( 名 ・形動 ) [文] ナリ 
上品で美しいこと。派手でない、おだやかな美しさのあること。また、そのさま。 「 -な装い」 「 -な曲線を描く」
[派生] -さ ( 名 )

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(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

優美
ゆうび
grace英語
grceフランス語
AnmutGrazieドイツ語

魅力、美徳の表出を本質とする美の一形態で、美的範疇(はんちゅう)の一つに数えられる。[瀧 一郎]

技巧を超える魅力としての優美

古代ギリシアにおいて優美(χρι)は、愛との連関の下に美と善とを結び付けたものとして考えられた。ローマではプリニウス(大)がcharisをvenustasとラテン語に訳して、ギリシアの画家アペレスApells(前325ころの人)の比類ない魅力を説明し、キケロやクインティリアヌスもvenustasないしgratiaという語を優美の意に用いて、ギリシアの演説代作者リシアスLysias(前458ころ―前380ころ)のアッティカ方言による簡素な文体がもつ効果を論じた。つまり古代において優美は、明確に理論化されることはなかったが、雄弁術や文学・造形芸術の様式上、単純さ・自然さ・容易さを伴う定義不可能な完全性として知られ、技巧や規則よりむしろ自然や天分の賜物(たまもの)と感じ取られ、理性よりも心情に訴えるものとして見分けられていた。Gratiaは中世には、おもに神の恵みとしての恩寵(おんちょう)という神学上の意味で用いられるが、この概念が優美の意味でヨーロッパ中に広められるのは、ルネサンス期にカスティリオーネが、理想的な廷臣の態度ふるまいに気どりのない無頓着(むとんじゃく)さを認め、これを優美grazia(イタリア語)の源泉とみて(『宮廷人の書』1528)以来のことである。バザーリは「規則に依存する合理的な質」としての美に対して、優美を「〈個人的〉判断力に、したがって目に依存する定義しがたい質」とした。ドルチェは「いわく、いいがたいもの」non so ch(ペトラルカに由来し、のちにje-ne-sais-quoiと仏訳される術語)ということばで優美の魅力を語り、ラファエッロの軽やかさを優美なものとしてミケランジェロの上に置いた。こうして規則を超える優美は、プロポーションに基づく美と対比されてきたが、18世紀になると優美の特徴とされていたこの破格性は崇高に帰せられ、優美の概念は矮小(わいしょう)化して、おもに動きの美として考えられるようになる。[瀧 一郎]

運動における美としての優美

美の原理を優美に求める15、6世紀の新プラトン主義的美論は、優美を精神の表れとしてとらえて、動きと優美を結び付ける考えを促した。シャフツベリ伯(3世)はすでに人体の動作に優美をみいだしており、その影響下にホガースは、波状線を美の線とよび、円錐(えんすい)に巻き付けられた蛇行線を優美の線とよんだ。優美を倫理の問題として理論づけたシラーは、道徳的感情を伴う人間の共感的運動に優美を認め、理性と感性との全き調和状態である「美しき魂」の表出を優美とみている。
 一方、機械論的解釈をするH・スペンサーは「力の節約」を優美の原理とし、筋肉感覚的な共感によって優美の快が生まれるとした。これを踏まえてベルクソンは、「物質の中に入り込む非物質性」である優美の魅力を、肉体的共感と精神的共感との親近性によって説明し、さらに優美が固定されると美になると考える。20世紀では「歌う建物」という譬喩(ひゆ)を用いて建築における優美を、見る者の魂を揺さぶり創造力をかき立てる力として論じたバレリーの優美論が注目される。[瀧 一郎]
『カスティリオーネ著、清水純一・岩倉具忠・天野恵訳注『カスティリオーネ宮廷人』(1987・東海大学出版会) ▽平井啓之訳『時間と自由』(『ベルグソン全集1』所収・1965・白水社) ▽ベルクソン著、林達夫訳『笑い』(岩波文庫) ▽伊吹武彦訳『エウパリノス』(『ヴァレリー全集3 対話篇』所収・1967・筑摩書房) ▽大西克禮著『美学 下巻 美的範疇論』(1960・弘文堂) ▽竹内敏雄編『美学事典』増補版(1974・弘文堂) ▽佐々木健一著『近世美学の展望』(今道友信編『講座美学1 美学の歴史』所収・1984・東京大学出版会)』

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