ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アーバックル」の意味・わかりやすい解説
アーバックル
Arbuckle, Roscoe
[没]1933.6.29. ニューヨーク,ニューヨーク
アメリカ合衆国の喜劇俳優,映画監督。フルネーム Roscoe Conkling Arbuckle。その体型から「ファッティ・アーバックル」(太っちょアーバックル)の愛称で知られた。10歳頃からアマチュアのショーに出演し始め,20歳になる頃にはボードビルやレパートリー・シアターなどの巡業公演でベテラン出演者になっていた。成人後は常に 100kg前後の体重だったが,優れた身体能力で観客を沸かせた。1913年からマック・セネットのキーストン社に在籍。メイベル・ノーマンド,チャーリー・チャップリンらの相手役を演じ,キーストン喜劇の人気俳優の一人となった。若き日のバスター・キートンの才能を見出し,育てたことでも知られる。しかし順風満帆の俳優人生は,ハリウッド黎明期の一大スキャンダルにより終わりを告げる。1921年若手映画女優のバージニア・ラッペが,パーティーの数日後に膀胱破裂で死亡。アーバックルは曖昧な目撃証言に基づき強姦致死容疑で起訴され,マスコミの攻撃にさらされた。3回の公判の結果,無罪評決がくだったが,この事件によりアーバックルは映画から締め出されることになった。1932年友人らの運動により映画復帰を果たしたが,翌 1933年就寝中に死去した。
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