イチイガシ(読み)いちいがし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イチイガシ」の意味・わかりやすい解説

イチイガシ
いちいがし
[学] Quercus gilva Bl.

ブナ科(APG分類:ブナ科)の常緑大高木で、幹はまっすぐに立ち、高さ25メートルに達する。老樹では灰褐色樹皮が落ちた跡にコルク層の渦巻模様がみられる。葉は倒披針(とうひしん)形で先端に鋸歯(きょし)をもつ。裏面黄褐色の短毛が密生し、他のカシ類と区別できる。堅果当年の秋に熟し、そのまま食用となる。殻斗(かくと)は6、7層の輪があり褐毛を密生する。千葉県以西の本州、九州に多く、台湾、中国大陸東部の暖帯に分布する。肥沃(ひよく)な土地を好み、神社などによく残っている。材は粘り強く、船や艫(ろ)の材として使われた。

[萩原信介 2020年1月21日]

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百科事典マイペディア 「イチイガシ」の意味・わかりやすい解説

イチイガシ

カシ

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事典・日本の観光資源 「イチイガシ」の解説

イチイガシ

(宮崎県都城市)
森の巨人たち百選指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

世界大百科事典(旧版)内のイチイガシの言及

【カシ(樫)】より

…ツクバネガシQ.sessilifolia Bl.はアカガシに似ているが,葉柄が短く,ひなたの葉は先端部に鋸歯があり,少し裏に巻いている。イチイガシQ.gilva Bl.(イラスト)は枝や葉裏に黄褐色の星状毛が密生する。いずれも春の新葉の開出と同時に開花する。…

【団栗】より

…どんぐりの渋さの程度は種により異なり,それに応じて食用とされる頻度も異なる。遺跡に貯蔵されているどんぐりで最も多いのは,それほど渋くないイチイガシである。このほか,中国ではクヌギの殻斗を染料としたし,果皮が堅くて乾いても変形しないどんぐりは,玩具や装飾品に使われ,こま,弥次郎兵衛,笛,人形などをつくる。…

※「イチイガシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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