イトラン

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イトラン」の意味・わかりやすい解説

イトラン(糸蘭)
イトラン
Yucca filamentosa; Adam's needle

リュウゼツラン科低木広義ではユリ科に含まれる。北アメリカ南部の大西洋岸およびメキシコ湾地方の原産。短い幹は分枝し,葉が密生するので大きな株となる。多肉質でやや硬い葉は線状または剣状で,先端はとがり,白粉を帯びる。葉縁に白色繊維が分離するのが特徴で和名もこれからついた。初夏に,葉の間から大きい円錐花序を出し,クリーム色で鐘形の花を多数つける。耐寒性が強いので同属のキミガヨラン (→ユッカ ) などとともに庭園などによく植えられる。北アメリカ南部では茎や葉からとれる繊維を椅子のシート布に用いたりする。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イトラン」の意味・わかりやすい解説

イトラン
いとらん / 糸蘭
[学] Yucca filamentosa L.

リュウゼツラン科(APG分類:キジカクシ科)の常緑多年草。茎はほとんどなく、短い根茎が肥厚して横にはう。葉は叢生(そうせい)し、長剣状で細く、長さ30~45センチメートル、幅2~3センチメートル、しなやかで上半部が垂れ、粉白緑色である。縁(へり)から白い糸となって繊維がほぐれ出るので、この名がある。6~7月ごろ、高さ1~2メートルの花茎に円錐(えんすい)花序をつけ、長さ約4センチメートルの6弁の白色花が下向きに開く。北アメリカ南部原産で、関東地方以南で庭園に植える。繁殖株分けによる。品種のフイリイトランは、葉に黄色の条線が入る。

小林義雄 2019年5月21日]

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