改訂新版 世界大百科事典 「イワデンダ」の意味・わかりやすい解説
イワデンダ
Woodsia polystichoides Eaton
岩上に生じる中型のシダで,和名もそれに由来する。デンダは連朶(れんだ)ともいい,シダの古い名の一つ。茎は短く斜上または直立し,葉を叢生(そうせい)する。葉柄は5~10cm,中軸と共に小さい鱗片と毛をつける。葉柄の頂端に関節があり,葉は秋にここから外れて落ちる。葉の全長は15~40cm,葉身は線状披針形,単羽状複葉である。羽片は直角に開出し,長楕円形で上側の基部は耳状に突き出ている。表裏面に毛があり,裏面には毛状鱗片がある。胞子囊群は円形,辺縁寄りにつき,椀形で不規則に浅裂して縁毛がある包膜で下から包まれる。北海道から九州の山地に広くみられ,さらに東アジア一帯に分布する。イワデンダ属Woodsiaは北半球の温帯に分布する属で,約30種が記録されており,そのうち8種が日本に知られている。メシダ科に入れられるが,イヌワラビの類とは大分違ったものである。
執筆者:加藤 雅啓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報