日本大百科全書(ニッポニカ) 「イヌワラビ」の意味・わかりやすい解説
イヌワラビ
いぬわらび / 犬蕨
[学] Athyrium niponicum (Mett.) Hance
オシダ科のシダ。匍匐(ほふく)した根茎に40~80センチメートルの葉が込み合ってつく。葉軸は普通、紅紫色を帯びる。鱗片(りんぺん)は披針(ひしん)形をした淡褐色で、まばらにつく。葉身は葉柄とほぼ等長で、先が細く伸びた卵状長楕円(ちょうだえん)形をなし、草質。2回羽状複生、3回羽状深裂。羽片の柄は普通5ミリメートル以上である。胞子嚢(ほうしのう)群と包膜は直線状、鉤(かぎ)形など変化があり、縁(へり)には不規則な凹凸がある。北海道南西部から九州にかけて分布する。軸の紅紫色が著しく、羽軸に沿い白斑(はくはん)のある品種はニシキシダといわれ、観賞に適する。
[西田治文]