イヌワラビ(読み)いぬわらび

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イヌワラビ」の意味・わかりやすい解説

イヌワラビ
いぬわらび / 犬蕨
[学] Athyrium niponicum (Mett.) Hance

シダ科のシダ。匍匐(ほふく)した根茎に40~80センチメートルの葉が込み合ってつく。葉軸は普通、紅紫色を帯びる。鱗片(りんぺん)は披針(ひしん)形をした淡褐色で、まばらにつく。葉身は葉柄とほぼ等長で、先が細く伸びた卵状長楕円(ちょうだえん)形をなし、草質。2回羽状複生、3回羽状深裂。羽片の柄は普通5ミリメートル以上である。胞子嚢(ほうしのう)群と包膜は直線状、鉤(かぎ)形など変化があり、縁(へり)には不規則な凹凸がある。北海道南西部から九州にかけて分布する。軸の紅紫色が著しく、羽軸に沿い白斑(はくはん)のある品種ニシキシダといわれ、観賞に適する。

[西田治文]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

放射冷却

地表面や大気層が熱を放射して冷却する現象。赤外放射による冷却。大気や地球の絶対温度は約 200~300Kの範囲内にあり,波長 3~100μm,最大強度の波長 10μmの放射線を出して冷却する。赤外放射...

放射冷却の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android