改訂新版 世界大百科事典 「イワムシ」の意味・わかりやすい解説
イワムシ
Marphysa sanguinea
多毛綱イソメ科の環形動物。アカムシ,エムシ,イソベ,ドロムシ,セムシ,ホンムシ,イワイソメ,ヒラムシなど20ほどの別名がある。日本各地に分布し,潮間帯の岩の隙間にすむところからこの名がつけられたが,干潟のような砂泥中にすむものもある。体長20~50cm,体節数350内外。体の前部は円筒状であるが,その後方は背腹に扁平になる。頭部は中央前縁がややくぼみ,5本の感触手がある。体節の両側からいぼ足が生ずるが,第30体節付近のいぼ足から1本のえらが現れ,漸次増えて4~5本の鰓糸(さいし)が櫛歯(くしば)状に並ぶ。産卵期は4~6月で,砂上に開く棲管(せいかん)の入口を中心にして円錐状に産む。孵化(ふか)後10~13日目に第3いぼ足が出て,底生生活に移る。孵化後1ヵ月で体長0.9~1.8mm,10体節に成長する。体長が30cmくらいになるのに3ヵ年を要すると考えられている。万能の釣餌で,タイ,カレイ,スズキ,ベラ,アナゴ,キス,イサキなどがよく釣れる。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報