イワーノフラズームニク(その他表記)Ivanov-Razumnik

改訂新版 世界大百科事典 「イワーノフラズームニク」の意味・わかりやすい解説

イワーノフ・ラズームニク
Ivanov-Razumnik
生没年:1878-1946

ロシア評論家思想家,文芸学者。本名はRazumnik Vasil'evich Ivanov。グルジアの小貴族の子。ペテルブルグ大学数学科在学中の1901年,反政府デモで逮捕流刑以後文筆活動を始め,ゲルツェンの思想を受け継ぐ〈内在的主観主義〉により《ロシア社会思想史》(1907)等を著す。終始インテリゲンチャとナロード人民),個人と社会の調和を追求する。ヨーロッパ文化の危機とロシア,哲学と社会主義の総合を論じる〈スキタイ人〉グループを形成,左派エス・エル党に属して十月革命を支持する一方,社会主義の俗物化の可能性を指摘した。スターリン時代には逮捕・流刑の合間に資料編纂に従事,独ソ戦で流浪後ミュンヘンで没。回想録牢獄と流刑》(1953)を残す。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 松原

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イワーノフラズームニク」の意味・わかりやすい解説

イワーノフ・ラズームニク
いわーのふらずーむにく
Иванов-Разумник/Ivanov-Razumnik
(1878―1946)

ロシアの文芸批評家。本名はРазумник Васильевич Иванов/Razumnik Vasil'evich Ivanov。貴族の家庭に生まれ、ペテルブルグ大学数学科を卒業後、左翼SR(エスエル)系の評論家としてデビュー。ナロードニキ主義の立場からマルクス主義に対抗し論陣を張る。十月革命後ブロークらと論文集『スキタイ人』(1917)を発行したが、23年以降は言論の場を奪われ、逮捕、流刑を経て43年ドイツに出国、そこで没した。代表的著作に、内在的主観主義の立場から革命と個人主義の問題を追求した『ロシア社会思想史』全2巻(1906)がある。

[安井侑子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android