改訂新版 世界大百科事典 の解説
インカムゲイン・キャピタルゲイン
income gain, capital gain
〈インカム・ゲイン〉とは,資産を保有することによって得られる収入,具体的には,有価証券(株式,債券)の配当および利子収入等をいう。これに対し,資産の値上がり(値下がり)によって得られる収入(損失)を〈キャピタル・ゲイン〉(〈キャピタル・ロスcapital loss〉)という。
インカム・ゲイン
インカム・ゲインの代表例としては,株式からの配当,債券からの利子や償還差益,証券投資信託からの収益分配金などがあげられる。株式の配当額は,当該会社の業績等により増減する。債券の利子は,金利規制が敷かれている現在,金利体系の枠の中で決定されるが,いったん利子額が確定すれば,償還まで毎年一定である。投資信託からの収益分配金は運用対象資産から生ずる利益の実績分配なので変動する。
キャピタル・ゲイン
キャピタル・ゲイン(ロス)といった場合,必ずしも厳密な定義はないが,一般には,有価証券(株式,債券)の売却益(損)をさす。また土地,建物,マンション等の譲渡益(損),すなわち固定資産売却益(損)についてもいうことがある。この額は,譲渡代金から取得費(購入代金等から償却費等を差し引いた額)および譲渡費用を差し引いて求められる。
また,会計上の用語としては,固定資産など企業経営活動に不可欠な資産を売却した場合に実現される利益(損失)のことをキャピタル・ゲイン(キャピタル・ロス)という。この額は,処分価額から帳簿価額(簿価)および処分に要した諸費用等を差し引いたものである。資本利得(資本損失)ともいい,両者を合わせて固定資産売却損益という。なお,キャピタル・ゲインに対する課税については〈キャピタル・ゲイン課税〉の項をみられたい。
執筆者:西村 重幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報