インスリン様成長因子(読み)インスリンようせいちょういんし(英語表記)insulin-like growth factor; IGF

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インスリン様成長因子」の意味・わかりやすい解説

インスリン様成長因子
インスリンようせいちょういんし
insulin-like growth factor; IGF

インスリンの構造に類似した一群のペプチドであり,種々の細胞増殖作用を示す。血中にはインスリン抗体によってその作用を抑制されず,インスリン様生物活性を示す物質が存在する。これらのうち酸エタノール可溶画分から2つの物質が同定され,インスリン様成長因子I,II (IGF-I,IGF-II) と命名された。 IGF-Iは分子量 7649,アミノ酸 70個,IGF-IIは分子量 7471,アミノ酸 67個より成るペプチドである。 IGF-I,IGF-II,プロインスリンの構造は相互に類似している。一般に IGFは脂肪細胞に対しては弱いインスリン作用を示し,生体内では低血糖を引き起こす。しかし糖代謝における生理的意義は不明な点が多い。軟骨細胞,繊維芽細胞,平滑筋細胞など多数の細胞に対しては増殖を促進し,一部の細胞に対しては分化を促進する。

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