日本大百科全書(ニッポニカ) 「インド独立法」の意味・わかりやすい解説
インド独立法
いんどどくりつほう
植民地インドの独立を規定した基本法。1947年8月14日と同15日、パキスタンとインドはそれぞれイギリス支配から脱した。このインド、パキスタン分離独立の根本を規定したのがインド独立法とインド統治法(1935)である。インド独立法は全体が20条、三付則から構成され、その基調は、インド、パキスタン分離独立を最終的な打開策とした1947年6月3日のインド総督マウントバッテン計画に求められる。同法は1か月後の7月3日にイギリス議会で可決され、イギリス国王の裁可を経て同年8月に発効した。
同法の特徴としては、まずインド、パキスタン双方の国家形態が自治領であること、制憲議会は立法府としての役割を果たすこと、イギリスはインド軍に対する統帥権を失うこと、などであった。かくてインドは、二百数十年にわたるイギリス支配に終止符を打った。その後、50年1月に憲法が施行され、主権在民の共和国体制が確立された。インド独立法は一面で憲法施行への過渡期の基本法ともいえるものであった。
[中村平治]