日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィテリウス」の意味・わかりやすい解説
ウィテリウス
うぃてりうす
Aulus Vitellius
(12/15―69)
ローマ皇帝(在位69年1月~12月)。ネロ帝没落後に乱立した4人の皇帝の1人。父はユリウス・クラウディウス朝の重臣。68年末、ガルバ帝の命令で総督として下ゲルマニア州に赴任したが、帝を嫌う当地の諸軍団によって皇帝に擁立され(69年1月)、西部諸州の支持を得てイタリアへ進軍。この間ガルバにかわって即位していたオットーを倒し、首都ローマに入城した(69年7月)。同年秋、東部諸軍団に擁立されたウェスパシアヌスの先発隊をベトリアクムBetriacumに迎撃したが敗北。首都にいたウィテリウスは、いったんは敵の退位要求に応ずるかにみえたが翻意。突入してきたウェスパシアヌスの部下の軍隊と激しい市街戦を交えたのち、同年12月20日隠れ場所から発見され惨殺された。
[栗田伸子]