ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウィルキー」の意味・わかりやすい解説
ウィルキー
Wilkie, Sir David
[没]1841.6.1. マルタ
イギリスの風俗画家,肖像画家,版画家。ロンドンのロイヤル・アカデミーに学ぶ。初め,D.テニールスやオスターデの影響のもとに同時代の庶民生活を描き,その逸話風の風俗画は人々に愛好された。 1825~28年イタリア,ドイツ,スイス,スペインを旅行し,特にスペインではベラスケス,ムリリョの影響を受け画風に重大な変化を生じた。 30年王室画家となり,36年ナイトの称号を得た。 40年に宗教画の真の背景を見出すため聖地を訪れ,帰途,ジブラルタルへ向う船上で没した。ターナーの『平穏』は彼の水葬の様子を描いたもの。主要作品『村祭』 (1804) ,『村の政治家』 (06) ,『盲目のバイオリン弾き』 (12) など。
ウィルキー
Willkie, Wendell Lewis
[没]1944.10.8. ニューヨーク
アメリカの実業家,政治家。父の跡を継いで弁護士となったが,1929年コモンウェルス・アンド・サザン電力会社に入社し法律面を担当,4年後その社長となった。元来民主党員であったが,ニューディール政策のテネシー川流域開発公社TVA法に反対して連邦政府と争い,40年『フォーチュン』誌に寄稿した「我ら人民」の一文で,突如その年の共和党大統領候補に指名された。 F.ルーズベルトに敗れはしたが善戦。第2次世界大戦に際しては早くから連合国援助を主張し,イギリス,中東,ソ連,中国などを歴訪しながら活躍した。著書『一つの世界』 One World (1943) では,戦後の国際協力を唱えた。
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