テニールス(読み)てにーるす(英語表記)David Teniers

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テニールス」の意味・わかりやすい解説

テニールス
てにーるす
David Teniers

同名のフランドル画家父子。(1)父(1582―1649) アンベルスの人。エルスハイマーおよびルーベンスの影響を受け、神話的主題のほか風景、風俗を描いたとされるが、彼の作を確証できる現存作品は少ない。(2)子(1610―90) アンベルス生まれ。父およびブロウエルに学ぶ。1632年アンベルスの画家組合に登録。51年レオポルド・ウィルヘルム大公の宮廷画家兼絵画館長としてブリュッセル定住。作品は風俗画が多く、市場、街頭、室内、居酒屋など市井の生活を諧謔(かいぎゃく)と寓意(ぐうい)を込めて描いた。代表作に『ウィルヘルム大公のブリュッセルの絵画館』(ブリュッセル王立美術館)、『三人の奏楽する農夫』(ミュンヘンアルテ・ピナコテーク)がある。

[野村太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テニールス」の意味・わかりやすい解説

テニールス
Teniers, David

[生]1610.12.15. 〈洗礼アントウェルペン
[没]1690.4.25. ブリュッセル
フランドルの画家。同名の父 (1582~1649) に学ぶ。息子 (38~85) および孫 (72~1771) も同名の画家。 1632または 33年アントウェルペンの画家組合に登録。 51年レオポルド・ウィレム大公の宮廷画家,ならびに大公の美術品の管理者となりブリュッセルに定住。 65年アントウェルペンのアカデミーの設立に貢献。初期には A.ブラウエルの影響を受けたが,やがて温和で繊細な自己の作風を確立。風俗,風景,静物肖像など題材は広範囲にわたり,2000点以上の多くの作品を残したが,特に農民の生活や都会庶民の日常生活の情景を描いた風俗画にすぐれた。

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