ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェストミンスター法律」の意味・わかりやすい解説 ウェストミンスター法律ウェストミンスターほうりつ 中世イギリス法制史における重要な3つの法律。また 1931年に,カナダ,オーストラリア,ニュージーランド,南アフリカ,アイルランド共和国,ニューファンドランドのイギリス自治領に完全な立法上の独立をもたらした法律をいう。中世のウェストミンスター法律は,1275,85年および 90年にウェストミンスターでエドワード1世が召集した議会で発せられたものである。それぞれの法律は,ウェストミンスター第1~3法律といわれるが,それらは民事,刑事法を修正ないしは,明確化することを目的としたものであった。ウェストミンスター第1法律 (1275) は,古いフランス語形で書かれ,エドワードの最初の「一般」議会で採択され,他の2つの法律は大貴族および顧問官 councillorsのみが出席している議会で公布された。ウェストミンスター第2法律 (85) は,その第1条の規定から De donis conditionalibus (制限付き贈与に関する法) といわれ,土地の譲渡制限と限嗣不動産保有権の保護を規定する。そして,その最初の文言である Quia emptores terrarum… (土地の売手なるがゆえに…) によって一般に引用されるウェストミンスター第3法律 (90) は,土地貴族を虚偽に陥れるのを防ぎ,不正手段から土地貴族を保護する意図で,転封 (封建的保有権上の一定区画の土地を貸すこと) を禁じたものである。これはイギリス最初の不動産譲渡法である。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by