改訂新版 世界大百科事典 「ウシウマ」の意味・わかりやすい解説
ウシウマ
Equus caballus var.
奇蹄目ウマ科の哺乳類。首や尾がウシに似ているのでこの名がある。鹿児島県種子島特産の家畜のウマ。肩高1.2~1.3m。蒙古馬,朝鮮馬,日本在来馬などに似るが,体が細く耳介が長く,たてがみと尾の長毛がない。体毛は細くて軟らかく,かつ縮れた栗色の下毛だけからなり上毛を欠く。夏にはほとんど無毛となり,灰色の地肌を現すが個体差がある。島津義弘が文禄・慶長の役に際し朝鮮から持ち帰り,風雪をきらう性質が強いので温暖な種子島で飼育したものといわれる。明軍が使役した蒙古馬の中に混在したものと思われるが,起源は不明である。天然記念物に指定され,上野動物園でも飼育されていたが,第2次世界大戦中に絶滅した。これに類する貧毛型のウマはアジア中部からヨーロッパ南部にかけてしばしば見られ,メキシコ,中国などの無毛犬と同じく,突然変異によって生じたものと推測される。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報