日本大百科全書(ニッポニカ) 「エゴノリ」の意味・わかりやすい解説
エゴノリ
えごのり / 恵古苔
[学] Campylaephora hypnaeoides J. Agardh.
紅藻植物、イギス科の海藻。黄赤色で、次々と二またに分かれる数多くの細糸状の分枝をもつ、つる草形分枝形の海藻。最頂端の分枝が鉤(かぎ)形に変形し、ホンダワラ類の体枝に絡みついて生育する。春から夏にかけて繁茂する一年生藻。日本沿岸に広く分布するが、とくに日本海沿岸や九州西岸などに多産し、寒天製造の副原料となる。古くから福岡市内では、エゴノリだけでつくったおきうと(沖独活)を食べる習慣があるが、類似の食品は佐渡島にもある。カラクサイギスは地方名。ホンダワラ類に絡まって生育する海藻には、アミクサ、カギイバラノリ、モズクなどがあるが、最頂端分枝が絡まるのはエゴノリとカギイバラノリの2種である。両種間の区別は、エゴノリは体枝を構成する細胞が大きく、一見数珠(じゅず)をつなげたようになるが、カギイバラノリではそういう特徴がない。なおモズクは、褐藻植物で暗褐色、粘滑質の体枝をもつ点で区別できる。
[新崎盛敏]