エゾツツジ(読み)エゾツツジ(その他表記)Rhododendron camtschaticum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エゾツツジ」の意味・わかりやすい解説

エゾツツジ(蝦夷躑躅)
エゾツツジ
Rhododendron camtschaticum

ツツジ科の落葉小低木。カムチャツカから沿海州,さらにアラスカにまで分布し,北海道と東北地方の高山帯に生える。地下根茎が走り,枝は斜上してよく分枝する。葉は互生し倒卵円形で長さ3~4cm,先は丸く葉縁に繊毛状の毛が並ぶ。夏に,枝先に短柄のある花を斜め上向きに咲かせる。花冠は漏斗形で深く5裂し,径4~5cmもあり紅色で美しい。おしべは 10本,下側につく5本が長い。卵形蒴果を生じて熟すと5裂する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エゾツツジ」の意味・わかりやすい解説

エゾツツジ
えぞつつじ / 蝦夷躑躅
[学] Therorhodion camtschaticum (Pall.) Small
Rhododendron camtschaticum Pall.

ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の常緑小低木で高さ10~30センチメートル。葉は倒卵形、長さ2~4センチメートルで先が円く、縁(へり)に長い毛がある。7~8月、枝先に総状花序をつくり、数個の花をまばらにつける。花冠は深く5裂し、紅紫色、径3センチメートル内外。雄しべは10本で下方の5本は長い。本州北部の高山帯、北海道から北太平洋岸に分布する。永存性の葉状包葉があることや果実の形がホツツジに似ているので、独立のエゾツツジ属として扱われることもある。

小林義雄 2021年4月16日]


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世界大百科事典(旧版)内のエゾツツジの言及

【ツツジ(躑躅)】より

…しかし,系統的には常緑と落葉とで本質的な区別はなく,日本のツツジ類は半落葉性で,サクラツツジやマルバサツキのような常緑性といえるものもあり,ツツジ類とシャクナゲ類の区別は便宜的なものといえる。 ツツジ属はエゾツツジを除いて,大きくヒカゲツツジ亜属とツツジ亜属に分けられる。エゾツツジはしばしばツツジ属の一員として扱われるが,花序が長く伸び,大きな永存性の苞葉があり,萼裂片が大きいことなど,ツツジ属よりホツツジ属や北アメリカのクラドタムヌス属Cladothamnusに類縁があると思われ,エゾツツジ属Therorhodionとするのが妥当と思われる。…

※「エゾツツジ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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