日本大百科全書(ニッポニカ) 「エデンの園」の意味・わかりやすい解説
エデンの園
えでんのその
The Garden of Eden
古代ヘブライ神話において、神によってつくられた最初の人間アダムとイブが、最初に住まわせられた楽園(パラダイス)のこと(『旧約聖書』「創世記」第2~3章)。しかしアダムとイブは神の命令を犯して「善悪を知る樹」の実を食べここから追放された。人類に死が入ってきたのもこのためだという。この物語が基になって、「エデンの園」はのちに「天国」「理想郷」「罪や悪のない状態」などの意味で、神学的、象徴的に用いられる。もう一つは、最初の人類が罪を犯して(原罪)そこから追放された場所のイメージである。キリスト教では、とくに後者と結び付き、「救済」が堕罪以前のエデンの園の状態の回復と解されることが多い。なおエデンの語源は不明だが、パラダイスなる語はエデンの園のギリシア語訳に由来する。
[月本昭男]