ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エフモント」の意味・わかりやすい解説
エフモント
Egmond, Lamoraal, Graaf van
[没]1568.6.5. ブリュッセル
オランダ独立運動の指導者,軍人。伯爵。エグモントとも呼ばれる。フランドルの大貴族で 1541年神聖ローマ皇帝カルル5世のアルジェ遠征に従軍して武勲をあげ,54年カルルの子フェリペとイングランド女王メアリーとの婚儀をまとめるために渡英して成功。スペインの対フランス戦争 (1557~59) にはフランドル軍を率いて参加し,サンカンタンおよびグラベリーヌの会戦で勝利を得,フランドル,アルトア両州の総督に任じられた。ネーデルラントに対するスペインの圧迫が強化されると,オランニェ公ウィレム1世 (沈黙公)およびホールネ伯らとともに反抗したが,67年ネーデルラント総督に任じられたアルバ公は,いわゆる「血の評議会」を設けて新教徒の反徒を大量に逮捕処刑し,このときエフモントも斬首された。のちゲーテは彼を題材に5幕の悲劇『エグモント』を,ベートーベンは『序曲』を含む 10曲の付随音楽を作曲した。
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