ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハドリアヌス6世」の意味・わかりやすい解説
ハドリアヌス6世
ハドリアヌスろくせい
Hadrianus VI
[没]1523.9.14. ローマ
ユトレヒト出身の第218代教皇(在位 1522~23)。本名 Adrian Florenszoon Boeyens。唯一のオランダ人教皇で,1978年にヨハネス・パウルス2世が選出されるまで,最後の非イタリア人教皇だった。ルーバン大学で学び,そこで司祭に叙階され,神学の教授や学長を務めた。弟子の一人にルネサンス期の偉大な人文主義者デシデリウス・エラスムスがいる。1507年のちの神聖ローマ皇帝カルル5世の家庭教師となり,1516年にトルトサ司教,1517年にアラゴンの宗教裁判官(→宗教裁判),枢機卿(→カーディナル)となった。1522年1月に教皇に選出。教会改革に尽力したが,ローマ人からはよそ者としてうとまれ,イタリア人枢機卿の抵抗やドイツのプロテスタント(→宗教改革),トルコ軍などの圧力などにも直面し,目立った業績は残せなかった。
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