日本大百科全書(ニッポニカ) 「エボヤ」の意味・わかりやすい解説
エボヤ
えぼや / 柄海鞘
[学] Styela clava
原索動物門尾索綱壁性目スチエラ科に属する亜冷水系の単体ボヤ。体は長さ約7センチメートルまでの長円筒形で、その後端に続く細長い柄(長さ約3センチメートルまで)で岩礁などに固着する。まれに柄のほとんどない個体もある。外皮は赤褐色でじょうぶな革状、表面には突起やしわがある。日本の沿岸ではおもに水の停滞的な内湾に生息し、ときに養殖筏(いかだ)や船底に群がりついて害を与える。
そのほか、トンキン湾、東シナ海北部、日本海北西部、オホーツク海、ベーリング海にも生息が知られている。さらに、広範囲の温度や塩分変化に耐える特性のため、おそらく船によって運ばれ、カリフォルニア沿岸(1920年代)、ヨーロッパ(1953年)、オーストラリア南東部(1972年)に移住し繁栄している。寿命は1年から1年半で、放卵放精後に親個体は死亡する。
[西川輝昭]