日本大百科全書(ニッポニカ) 「エルタテハ」の意味・わかりやすい解説
エルタテハ
えるたては / L蛺蝶
false comma
[学] Polygonia vau-album
昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。本州(中部地方以北の山地)、北海道のほか、樺太(からふと)(サハリン)、朝鮮半島、中国からヨーロッパにかけて分布し、北アメリカにも産する。はねの開張65ミリメートル内外。はねの表面は橙褐色(とうかっしょく)の地に黒色斑紋(はんもん)があり、ヒオドシチョウによく似ているが、両ばねとも前縁近くに白色紋を備え、外縁部は屈曲が多い。はねの裏面中央部に銀白色のL字型の紋があり、和名はこれに由来する。また、はねの裏面の色彩斑紋は雌雄で異なり、雄では地色は灰褐色で斑紋は顕著、雌では暗色で斑紋は不明瞭(ふめいりょう)で、この特徴によって雌雄を見分けることができる。幼虫はハルニレ、ウダイカンバ、オヒョウなどの葉を食べ、成虫は年1回、7~8月ごろに出現し、成虫で越冬する。
[白水 隆]