西シベリアを征服しロシアによるシベリア併合の端緒をつくったコサック隊長。ロシア語ではイェルマークと呼ぶ。ドン川地方出身ともカマ川地方出身とも言われ,最初はボルガ川を航行する船を襲う略奪コサック団の首領だった。イワン4世の特許状を得てシベリア開発に着手していた企業家ストロガノフ家に雇われ,1577年ころ多くのコサックとともにカマ川上流の要塞に行き,一家の所領をシビル・ハーン国のクチュム・ハーンの攻撃から守る仕事に就いた。79年(一説に81年)にはコサック隊を率いて本格的なシベリア征服遠征に出発し,ついにイルティシ河畔の激戦でクチュム・ハーンの軍に決定的打撃を与え,82年10月にハーン国の首都シビルを占領した。しかし3年後の85年(一説に84年)8月クチュム・ハーンの夜襲をうけて負傷,イルティシ川の支流で溺死した。残されたコサックはシビル市を捨ててロシアに帰ったが,イワン4世はその後ロシア正規軍による本格的シベリア進出に着手し,98年ボリス・ゴドゥノフがシビル・ハーン国の最終的な併合を達成した。エルマークの遠征は多くの民謡にも歌われている。
執筆者:松木 栄三
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?~1585
カザークの首領。豪商ストロガノフ家の援助を得て遠征隊を組織し,1582年シビル・ハン国クチュム・ハンの軍を破り,首都カシルィクを占拠。ロシアのシベリア併合の先駆者になった。
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