エレクテイオン(その他表記)Erechtheion

デジタル大辞泉 「エレクテイオン」の意味・読み・例文・類語

エレクテイオン(Erechtheion)

アテネアクロポリス上のイオニア式神殿。前420~前408年ごろ建造。有名なカリアティード女像柱)は、現在はアクロポリス美術館大英博物館にある。

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精選版 日本国語大辞典 「エレクテイオン」の意味・読み・例文・類語

エレクテイオン

  1. ( [ギリシア語] Erektheion ) ギリシア、アテネのアクロポリスにある神殿。紀元前四二一~四〇七年に建造、アテナポリス、ポセイドンエレクテウスをまつる。イオニア式を代表する三つの柱廊と六本の像柱は特に有名。

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改訂新版 世界大百科事典 「エレクテイオン」の意味・わかりやすい解説

エレクテイオン
Erechtheion

アテナイのアクロポリス上の北にある神殿。〈エレクテウスの家〉の意であるが,〈エレクテイオン〉という名は後2世紀の旅行家パウサニアスの著作に初出,それ以前は〈アテナ(・ポリアス)の(旧)神殿〉などと呼ばれていた。ホメロスに言及されているほど古い由緒をもつ。現存のものは前421年ころに建設が始まり,数年の中断を経て,前406年ころ完成された。現存するイオニア式神殿中の代表作であるが,建築家は不明。地面の凹凸という地理的条件(東半分が3mも高い),多数の聖跡と古い祭儀を包摂する必要性などのために非常に複雑なプランを採り,建築全体は繊細な装飾を施されたイオニア式で統一されている。主室(11.63m×22.76m)は仕切り壁で隔てられた東西の2室で,東室は東正面に6柱(北端の1本は大英博物館在)のあるプロナオス(前室)をもち,中にはヘファイストス,ポセイドン・エレクテウス,およびブーテスの三つの祭壇を備えていた。西室は北側にやはり6柱をもつ立派な玄関があり,中にはアテナイで最も古く,最も由緒ある,オリーブ樹でできた神像アテナ・ポリアスが仕切り壁を背に安置されていた。西室から南に張り出したポーチにはエレクテイオンの象徴ともいえる6体のカリアティードが据えられた。黒っぽいエレウシス産の大理石の地に,浮彫部分を白い大理石で別に作って貼った独特のフリーズの遺品はアクロポリス美術館に収められている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エレクテイオン」の意味・わかりやすい解説

エレクテイオン
えれくていおん
Erekhtheion

アテネのアクロポリスの北側に建つ古代ギリシアのイオニア式神殿。アテネの伝説上の王エレクテウスと女神アテネおよび海神ポセイドンの3神を祀(まつ)る、ギリシアでは異例の複合建築。建築家カリクラテスの設計で、紀元前421年に着工し、前407年ごろに完成した。床面の高さを異にするその複雑なプランは、東西に25.5メートル、南北に21.5メートル、東側に正面6柱のイオニア式の柱をもつ玄関廊を配し、その奥にアテネの神殿がある。建築の中央部を構成する西・北側は東・南側より床面が3メートルも低くなり、エレクテウスとポセイドンを祀る内室がある。この北側には正面4柱、側面各1柱のイオニア式の柱を配し、エレフシスの青大理石に刻まれた美しい浮彫りで飾ったフリーズで囲んだ大きな玄関廊が張り出している。また南側には東側と同じ高さに正面4体、側面各1体、計6体の女像柱、いわゆるカリアティードで有名な「コレーの壇」が突き出ている。この「コレーの壇」は北の玄関廊のほぼ4分の1の大きさにすぎないが、イオニアのチュニックを着た6体の女像柱はほぼ等身大である。左から2体目の像は1801年エルギンイギリスに持ち去り、そのコピーが置かれていたが、現在は他の5体も毀損(きそん)が激しくなったため取り外されてアクロポリス美術館に陳列されている。この3柱を祀るイオニア式の複雑な建築は、その細部の優美な装飾により、パルテノンと並んでギリシア古典期の最高の水準を示すものとされる。

[前田正明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エレクテイオン」の意味・わかりやすい解説

エレクテイオン
Erechtheion; Erechtheum

ギリシア,アテネのアクロポリスに建つイオニア式神殿。繊細な表現と複雑な構成で知られ,特にイオニア式柱頭は美しい。造営は前 421~407年頃で,おそらくムネシクレスが建てたと推定される。エレクテイオンの呼称は伝説上の王エレクテウスの神殿の意。もとはエレクテウス,アテネ,ポセイドンの3神が祀られていた。敷地の高低 (北・西側が南・東側より 3m低い) ならびに3つの小祠を1つの建物に合成したため,きわめて複雑である。南側に6体のカリュアティドに支えられた小柱廊がある。エルギン伯 T.ブルースによって,一部の装飾がイギリスに持ち去られた。 (→エルギン・マーブル )  

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百科事典マイペディア 「エレクテイオン」の意味・わかりやすい解説

エレクテイオン

アテネのアクロポリスにある神殿。前5世紀末完成のイオニア式建築の代表作で,かつてはアテナの神像が安置されていた。敷地の地盤に3mに及ぶ高低差があること,多くの聖跡と神格の祀所を一つの建物にまとめたことなどから,古代には類例のない複雑なプランを示している。南に突出した前廊には有名な6体のカリアティードがある。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「エレクテイオン」の解説

エレクテイオン
Erechtheion

アテネの伝説上の古い王であるエレクテウスにささげられた神殿。アテネのアクロポリスに建てられ,前421年に着工,前407年に完成。イオニア式建築の最も代表的なもの。

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旺文社世界史事典 三訂版 「エレクテイオン」の解説

エレクティオン
Erekhtheion

ギリシア中部,アテネのアクロポリスの丘にある神殿
前421〜前407年に建設されたイオニア式建築の代表作。アテナポリアス・ポセイドン・エレクテウス(アテネの伝説上の王。エレクティオンの名の由来)の3人の神を祭る複合神殿である。美しい少女像(カリアティード)の列柱で有名。

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