エレゲイア(英語表記)elegeiā

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エレゲイア」の意味・わかりやすい解説

エレゲイア
elegeiā

古代ギリシア・ローマの詩形の一つ。ヘクサメトロス (長短々格の六脚韻句) とペンタメトロス (同五脚韻句) を交互に繰返す。笛を伴奏にする歌として古くフリュギアから移入されたものらしい。簡潔な表現に適し,応用範囲は広い。酒宴の歌,追憶歌,軍歌,政見発表,歴史,献呈辞,墓碑銘,哀歌などに用いられた。ヘレニズム時代にはアレクサンドリア派の詩人たちの最も好む詩形として,カリマコスの『アイティア』を筆頭に多数のエレゲイア詩が現れたが,すでにフィレタスやアスクレピアデスらの頃から新しい発展がみられ,従来のものと並んで,都会や田園の生活の情景や,神話の場面などを描くものと,恋愛をテーマにするものが現れた。ローマで本格的にこの詩形を用いた最初の詩人はカツルスで,彼は短いエピグラムのほかに長いエレゲイアも作った。チブルス,プロペルチウスらはこの詩形をラテン恋愛詩のものとして完成し,『変形譚』を除くオウィディウスの全作品もこの詩形による。なお1世代のちのマルチアリスのエピグラムもまたエレゲイアの形式をおもに用いている。

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