オオヤマネ(読み)おおやまね(その他表記)fat dormouse

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオヤマネ」の意味・わかりやすい解説

オオヤマネ
おおやまね / 大冬眠鼠
fat dormouse
[学] Glis glis

哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目ヤマネ科の動物。同科の最大種で、広くヨーロッパのほとんどの地域および小アジアの森林にすむ。体長13~19センチメートル、尾長11~15センチメートル、体重80~120グラム。樹上生で、木登りや、枝から枝へのジャンプがうまく、最長1メートルもジャンプする。日中樹洞につくった巣に眠り、夜間に活動して、どんぐりその他の果実を食べる。秋に十分脂肪を体に蓄えると、樹洞の中や、ときには地中に掘った穴で冬眠に入り、5月ごろまで眠る。1産3~10子。

今泉吉晴

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オオヤマネ」の意味・わかりやすい解説

オオヤマネ
Glis glis; edible dormouse

齧歯目ヤマネ科。ヤマネ類のなかでは最大で,体長 13~19cm。体毛はなめらかで短く,体上面の色は灰白色から灰褐色である。尾は総状。前後肢とも足の裏にはざらざらした蹠球 (しょきゅう) があり,木に登るときの滑り止めの働きをする。普通木の上,藪の中で生活し,動作は敏捷。巣は植物の繊維コケなどを集めてつくられる。フランス,スペインイラン,中央アジアなどに分布し,落葉樹林,樹洞のある大木が生える果樹園,公園などにすむ。

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世界大百科事典(旧版)内のオオヤマネの言及

【ヤマネ(山鼠)】より

…国の天然記念物に指定されている。 近縁種にはヨーロッパにヨーロッパヤマネMuscardinus avellanarius,オオヤマネGlis glis,アフリカにアフリカヤマネGraphiurus murinusなどが分布するが,日本の近辺には分布しない。古代ローマでは冬眠前の肥大したオオヤマネを美味な食物として珍重した。…

※「オオヤマネ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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