オサゾウムシ

改訂新版 世界大百科事典 「オサゾウムシ」の意味・わかりやすい解説

オサゾウムシ

甲虫目オサゾウムシ科Rhynchophoridaeに属する昆虫の総称オオゾウムシバショウオサゾウムシコクゾウムシなどが含まれる。触角の先端の幅広い2環節(球稈(きゆうかん)部)は堅固で,この部分の基部(第1節)だけに密な細毛がなく光沢があること,体の背面が平圧され,口吻(こうふん)は強くは曲がらないことなどの特徴で,他のゾウムシ類から分けられている。バショウオサゾウムシCosmopolites sordidusは体長約11mm。奄美大島,沖縄から熱帯地方にかけて広く分布し,幼虫はバナナなどバショウ類の茎に潜り込む害虫として知られる。ササコクゾウムシ類Diocalandraは体長3~5mm。日本から3種が記録されているが,いずれも枯れたタケやササの茎に穿孔(せんこう)する。したがって家具や家屋に用いられたタケ材が加害されることがある。そのほか,サトウキビコクゾウムシ,バショウコクゾウムシなど熱帯域からサトウキビやバナナの茎に潜り込むものが知られている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オサゾウムシ」の意味・わかりやすい解説

オサゾウムシ
おさぞうむし / 筬象虫

昆虫綱甲虫目オサゾウムシ科Rhynchophoridaeの昆虫の総称。熱帯から温帯にかけて約1000種が分布し、日本には31種が生息。単子葉植物の害虫が多く、バショウオサゾウムシとバショウコクゾウムシは奄美(あまみ)大島以南分布のバナナの害虫。カンショオサゾウムシは小笠原(おがさわら)諸島でサトウキビを加害し、ヤシオオオサゾウムシは最近沖縄へ持ち込まれてヤシ類に大害を与えている。穀物の害虫コクゾウムシや、日本最大のオオゾウムシもこの科に属し、ササコクゾウムシの仲間は簾(すだれ)など竹製品を加害する。

森本 桂]

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