改訂新版 世界大百科事典 「オオゾウムシ」の意味・わかりやすい解説
オオゾウムシ
Sipalinus gigas
甲虫目オサゾウムシ科の昆虫。体長が約24mmもあり同科の日本産の種では最大。成虫のからだは堅固で,背面は灰褐色のうろこ状の短毛に覆われる。上翅には小黒紋が散在する。日本全土のほか,朝鮮半島,中国および熱帯にも分布する。成虫は樹液に集まるが,昼間は倒木の下などに見られる。マツ,スギ,サクラ,ナラ,ニレなど多くの樹種の枯木の樹皮下に産卵する。幼虫は材部を奥深くまで食べ進むため,木材の大害虫として知られる。幼虫の孔道は材の中心に近づくと年輪に沿って迂回する。幼虫で越冬し,5~6月に蛹化(ようか)する。成虫で越冬するものは土中へ潜る。幼虫のからだは白色で著しく肥満し,胸脚を欠く。腹部の後方は急に細まり,末端に6本の指状の突起があることで他の幼虫から容易に区別できる。成長した幼虫は体長20mmにもなる。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報