改訂新版 世界大百科事典 「オサバフウロ」の意味・わかりやすい解説
オサバフウロ
Biophytum sensitivum(L.)DC.
高さ10~20cmほどのカタバミ科の一年草。直立する茎の先に多くの葉が束生し,触れると急速に閉じて下垂する。葉は8~14対の多くの小葉からなる偶数羽状複葉。束生する葉のわきから6~10cmの花茎を伸ばし,数個の小さな花を散形につける。花は筒状で,放射相称に並ぶ黄色い5枚の離生花弁からなる。果実は楕円形の蒴果(さくか)。世界の熱帯に広く分布する雑草で,疎林下に生える。マレー半島では,民間薬として利用される。
オジギソウ,マイハギと共に,接触刺激により葉が急速に運動する植物として知られる。刺激されると葉柄の上側と下側とで細胞内の水分量が変化し,細胞の膨圧の差によって運動が起こる。しかし刺激がどのように伝達され,それがどうして膨圧の変化を起こすかの機構はよくわかっていない。
執筆者:山崎 敬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報