細胞内部の浸透圧と外部の浸透圧の差を膨圧という。動物細胞の場合は細胞壁がなく、細胞の最外層は薄い細胞膜であるため、細胞を水中に入れると膨れて破裂する。したがって、動物細胞では膨圧はほとんど無視しても差し支えない。ところが、植物細胞では細胞の外側は堅い細胞壁で覆われているため、細胞を水に入れると、水が細胞内に入って体積を増すが、堅い細胞壁が膨張を押さえることとなり、膨圧が生ずる。膨圧は数気圧から数十気圧に達することもある。また膨圧は、細胞内部の浸透圧と吸水力(拡散圧差ともいう)との差で表される。膨圧とは、細胞壁を押す圧力であるから、当然のことながら、細胞壁から内部へ向かう、つまり方向が逆になった膨圧と同じ圧力が存在するわけで、これを壁圧という。
膨圧は植物細胞の力学的強度の保持や成長のためには不可欠なものである。植物がその形を保ったり、伸長成長が行えるのは、細胞が膨圧をもって緊張状態にあるためであり、細胞が膨圧を失うと組織はしおれる。膨圧の変化によっておこる運動を膨圧運動という。オジギソウの葉枕(ようちん)の運動や気孔の開閉運動などは、膨圧運動の例である。
[吉田精一]
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… 液胞のよく発達した植物細胞において,内外両表面を半透膜で包まれた細胞質は液胞内の細胞液と浸透平衡を保っているので,この原形質の層全体が一定の厚みをもった半透膜として働いているとみなしてよい。植物細胞を水に浸すと水ポテンシャルの差によって水は細胞へ浸透し,細胞壁に圧(膨圧という)を加え細胞壁を押し広げ,細胞の容積が増大するとともに水ポテンシャルは上昇する。しかし,細胞壁は膨圧と大きさが等しく方向が反対の圧(壁圧)で細胞を内側へ押しているので,細胞容積はどこまでも大きくなれるというわけではない。…
※「膨圧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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