日本大百科全書(ニッポニカ) 「オジギソウ」の意味・わかりやすい解説
オジギソウ
おじぎそう
sensitive plant
[学] Mimosa pudica L.
マメ科(APG分類:マメ科)の小低木であるが、日本では冬を越せないことが多いので、通常は春播(ま)き一年草として扱う。原産地はブラジル。ネムリグサ(眠草)といわれ、細かく茂る羽状複葉の葉は、夜になると葉を閉じる就眠運動をするほか、手などで触れると、その刺激で閉葉運動をするので有名である。これは葉柄基部の葉枕(ようちん)内の細胞の膨圧が変化するためである。小・中学校の教材としても使う。漢名の含羞草(がんしゅうそう)は恥ずかしがる草、英名は敏感な草で、属名のミモーサはギリシア語で「まねをする」という意味であり、いずれもこの就眠運動に由来する。草丈は20~30センチメートルでよく分枝し、枝は地をはうようにして茂り、7~9月に球状桃色の集合花を次々と開き、可憐(かれん)である。4~5月に種を播き、庭植え、鉢植えとして楽しむが、日当りのよい所でよく育ち、性質は強く、こぼれ種でも殖える。
[柳 宗民 2019年10月18日]
文化史
オジギソウの葉が開閉する性質に最初に触れたのは、ポルトガルの僧ジョゼー・デ・アンシェッタで、16世紀のなかばにブラジルで観察された。日本には1841年(天保12)にオランダ人が伝えたと、蘭学者(らんがくしゃ)の山本亡羊(ぼうよう)、紀州(和歌山県)の本草(ほんぞう)学者小原桃洞(おはらとうどう)が記す。桃洞は「今俗間にネムリグサ、あるいはオジギソウなどと名付け弄(もてあそ)ぶ」と『百品考』(2編上・1847刊)に書き残した。
[湯浅浩史 2019年10月18日]