改訂新版 世界大百科事典 「オジギソウ」の意味・わかりやすい解説
オジギソウ
Mimosa pudica L.
葉にさわると閉じる運動がおもしろく,鉢植えや花壇に植えられるマメ科の多年草。英名はmimosaだが,園芸店でミモザといえばアカシア属のフサアカシアをさすことが多い。葉は互生し,長い柄の先に2~4片の羽状複葉をつけ,振動,接触,火気,アルコールやアンモニアのガスによる刺激を受けると,葉節の基部の膨圧に変化を起こし葉をたたみ閉じて葉柄が下垂するが,時間がたてば回復する。ここから英語でsensitive plantともいう。他のマメ科植物と同様に明暗によっても葉を閉じる(睡眠運動)のでネムリグサの別名もあり,漢名で含羞草(がんしゆうそう)ともいう。原産地はブラジル。日本には1842年(天保13)に渡来したという。
6~9月,葉腋(ようえき)に花梗を立てて咲くピンクの花は多数集合しており,おしべが長く耳払いのように見える。果実も多数集まってつき,熟せば脱落する。ブラジル原産で,熱帯全域に広分布しており,そこでは周年開花する。多年草であるが,日本では春まき一年草として取り扱い,4~5月にまき,鉢植えや花壇植えとする。発芽温度は20℃,花壇では前年のこぼれ種が4月下旬に発芽して育つが,肥料が効くと茎葉が繁茂するわりには花が少なくなる。また茎にはとげがあり,手入れもしにくい。根には根粒バクテリアが着生している。
執筆者:浅山 英一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報