オットンガエル(読み)おっとんがえる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オットンガエル」の意味・わかりやすい解説

オットンガエル
おっとんがえる
[学] Rana subaspera

両生綱無尾目アカガエル科のカエル奄美大島(あまみおおしま)に生息し、現地では単にオットンとよばれる。背面茶褐色で小黒斑(こくはん)が散在し、皮膚にある小さな隆起は体側部に顕著で、腹面には不規則な大形暗色斑がある。ずんぐりした体形で、体長は12センチメートルに達する。森林内や林縁部の浅い水たまりにすみ、夏季に産卵する。沖縄本島にすむ近縁のホルストガエルR. holstiとともにカエルとしては例外的に前肢に5本の指があり、第1指の骨は鋭くとがって、ひっかかれると出血する。

倉本 満]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オットンガエル」の意味・わかりやすい解説

オットンガエル
Babina subaspera; Otton frog

カエル目アカガエル科。体長 12cmに達する大型のカエル。体は緑色がかった暗褐色で多数のいぼがあり,一見ヒキガエルの仲間に似ている。前肢の第1指は肉質の袋に包まれた棘状で,身を守るための武器として使われる。初夏,水たまりのそばなどに皿状のくぼみをつくって産卵する。幼生の成長は遅い。奄美大島の特産種

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